少額投資非課税制度(NISA)の改革に弾みがつきそうだ。
訪米中の岸田文雄首相は22日、
ニューヨーク証券取引所で講演し、
時限措置のあるNISAについて恒久化が必須だと表明。
どのタイミングでも非課税投資できるようになれば、
投資家の裾野が一気に広がる可能性がある。
恒久化が実現すれば首相が掲げる
『資産所得倍増プラン』の土台となる。
NIS恒久化は、金融庁が2023年度税制改正で要望していた。
14年の制度開始以降、5度目の要望で
ようやく実現する可能性が出てきた。
NISAがお手本にした英国のISA制度は恒久化で、
その後7年間でISA資産残高が1.7倍に急増した。
恒久化のメリットは、誰もが好きなタイミングで
資産形成に着手できる点だ。
現在の積み立てNISAは投資家の期間が42年まで。
20代で始めたとしても、20年後は40歳代。
結婚し、子供ができた場合、教育費がかさむ
タイミングに非課税期限が訪れる計算だ。
『若く、始めれば始めるほど、
必要なタイミングに非課税メリットを享受できない』
と言う問題があった。
NISAの使い勝手の悪さは金融商品の
入れ替えができない点にもある。
購入した商品を売却すると非課税枠が
そのまま消えてしまう。
販売業者がNISAを使って金融商品を回転売買
させることを、金融庁が危惧した経緯がある。
一方、英ISAでは制約はなく自由に商品の入れ替えができる。
金額も見劣りする。ISA非課税限度額は
2万ポンド(約3,200,000円)。
一方、日本は一般NISAが120万円
積み立てNISAが40万円にとどまる。
日本証券業協会は、上限拡大の案として
一般NISAを240万円
積み立てNISAを60万円に引き上げる
例を示しており、併用を前提として最大300万円になる。
仕組みの複雑さも改善点だ。
現在NISA(一般NISA)(積み立てNIS) (ジュニアNISA)の3制度が並列する。
日本証券業協会の調べによると、
米英おける家計の金融資産に占める税優遇資産の割合は
20%を超える。
日本でもNISAの恒久化や簡便化に加え、
非課税枠の拡大にも踏み切れば
『貯蓄から投資』の流れを加速させ、
国民総株主社会に転換するきっかけになる
可能性を秘めている。